BDFネットワーク化の背景


バイオディーゼル燃料は、植物油脂でもある菜種油・パーム油・ひまわり油・大豆油、またてんぷら油などの廃食油を原料として製造されています。バイオディーゼル燃料も、持続的に生産可能な資源・エネルギーとして扱うことができ、このような持続的生産可能な資源・エネルギーは、地熱、太陽光、水素エネルギーなどと同様に、地域で生産可能なエネルギーとしても注目されています。植物油脂を原料とするため農地と降水があればエネルギーの確保・自給が可能であり、原油中東依存を低減化し、エネルギー自給率改善策としても有効であると考えられています

日本では、3RReduceReuseRecycle)の観点から廃食用油からのバイオディーゼル燃料に主眼が置かれています。日本の廃食用油の年間発生量は、約4050トンと推測されており、これは日本の軽油消費量のおよそ1%にあたります。しかし、民間・業務回収されている廃油は年間約20トンに留まっており、残りの未回収量は年間約2030トンとなっています。回収廃油は、飼料、肥料、塗料、石鹸などの原料や産廃処理などをされていますが、未回収油については、焼却処分、下水・河川、埋立処分されており、環境汚染を引き起こす原因にもなっています。

このような背景から私たちは、長野県の豊富なバイオマス資源があることや、休耕地を利用した菜の花作付けによる観光客の集客(地域活性化)、家庭などから下水へ流されているてんぷら油の利用(環境汚染防止)、また身近にバイオディーゼル燃料を製造しているNPOがあることから、その地域特性を活かしてバイオディーゼル燃料に焦点を当てることとしました。

現在、長野県内でバイオディーゼル燃料を製造しているNPOは、まだ成長期であるために、個々で様々な課題を抱えているのが実状です。それらを解決するためNPOが他のNPOに訪問するなど各自で方策を練っています。そこで、共通の意識の人が集まって情報の共有化を行えばNPOが課題や抱えている問題などが解決の方向へ向かうのではないか、また個々のNPOだけの点の活動だけではなく、そのNPOを軸とした地域活性化のような面への活動(環境コミュニティ化)へ広げていくことができないだろうか、という問題意識を持つようになりました。バイオディーゼル製造者のNPOの共通の場を提供(ネットワーク化)することでどのような効果が得られるのかを、「NPO法人須坂エコライフネットワーク(須坂市)」、「NPO法人伊那谷菜の花楽舎(箕輪町)」、「NPO法人八ヶ岳ヒューマンエナジー(原村)」を取り上げ検証することにしました。



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